現地の子どもたちの、口内環境向上を目指して

当院では毎年、カンボジア・シェムリアップ州の孤児院や小中学校を訪問し、
診察やブラッシング指導などの歯科ボランティアを行っています。

ボランティア活動期間中は、予約がとりづらいなど日本の患者様にご不便をおかけしましたが、
おかげさまで毎年数百名の子どもたちを診察・治療することができております。

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2023年度カンボジア・ボランティア 診療レポート

2023年06月11日 ~ 15日

日本からカンボジア・シェムリアップへ移動

シェムリアップへは直行便がないため、ベトナムで乗り継いで向かいます。約10時間のフライトです。現地到着後は、持ち込んだ診療器具や備品のチェック、手順確認を行いました。
今年はフォレストから計13名(6名の歯科医師・2名の衛生士・5名のスタッフ)が参加。シェムリアップの広い空のもと、翌日からの診療に備えます。

国営孤児院

現地の国営孤児院で40人の子どもたちを診察しました。抜歯や虫歯の進行を止めるような処置を行いました。
シェムリアップの子どもたちは、家庭環境に関わらず「歯磨きをしなければいけない・しないと虫歯になる」という認識が低く、また虫歯になっても近くに病院がないため「歯医者で治療する」という選択肢もありません。

はじめて歯科検診を受ける子どもたち。
「痛いことをされるのでは?」と、怖がり泣き出してしまいそうなお子さんもいました。
気温約30度・湿度100%の蒸し暑い中、扇風機で涼をとりながら汗だくで診察します。

クヴィアン小中学校

クヴィアン小中学校は、当院も参画するNPO共生フォーラムの活動「カンボジアの子供たちから、元気をもらおう大作戦!」の、第1期プロジェクトで2012年10月に開校しました。
こちらでは、420名の子どもたちの歯科検診と、ブラッシング指導を行いました。

▼NPO共生フォーラムの詳細
https://tomoniikiru.or.jp/

紙芝居を手作りし、クヴィアン小中学校の子どもたちに口腔ケアの大切さを説明しました。

ササキ株式会社様のご厚意で提供いただいた歯磨きセットを子どもたちに配り、歯の磨き方を練習しました。
みんな真剣な表情で歯磨きを練習します。

児童養護施設 共生の家

NPO共生フォーラムが建設した児童養護施設「共生の家」で11人の子どもたちに歯科検診・治療を行いました。
「共生の家」は「カンボジアの子ども達に明るい未来を掴むチャンス」をという思いから設立されています。

治療が終わった後は子どもたちと一緒に食事会。
身振り手振りを使いながらたくさんコミュニケーションを取りました。

ボランティアに参加した職員の声

西東京院DR

一般的な歯科医院勤務では経験できない貴重な体験ができ、今回の医療支援に参加できて良かったと思っています。
海外の医療支援では、現地の医療環境や、法制度、電気・水道など現地のインフラ環境の把握など、
日本では考えを巡らせない部分に多数配慮する必要があるのだと、現地に赴いたことで改めて痛感致しました。

医療支援介入後のフォローアップが難しいため、どこまで治療介入すべきかの判断の難しさを学びました。
ただ、日本でも年2回ほどの健診・メンテナンスの方もいるので、
判断基準に熟慮が必要ではありますが、年1回のペースで治療後の経過を追うことでも、
現地で治療を必要とする患者さんにとっては非常に有意義なのかなとも感じました。

大宮院DH

話今回私が参加した理由は、海外で子供たちに歯の大切さを教えたいという想いがあったからです。
カンボジアに行って言葉では言い表せないぐらい多くの感動と色々考えるものがありました。
カンボジアでも場所により栄えている所もあれば栄えていない所もあり格差が激しかったり、
遊ぶ道具が無かったり靴を履いている子もいる子もいたり。
実際行ってみてイメージしていたカンボジアとかけ離れていてびっくりしました。

まず道具があることや治療ができる環境があるのが日本では当たり前ですが、
そういったことも当たり前のことでは無いのだなと実際にカンボジアを訪れて実感しました。
普段当たり前に治療が出来ていることに感謝しないといけないなと感じました。

しかし、言葉が通じなくてもハイタッチなどでコミュニケーションが取れ、
歯磨き指導や治療を通して伝えていけるものがあるんだなと思いました。改めて医療支援の素晴らしさが分かりました。

現地に行って実際に感じたことでより一層海外で歯の大切さを教えたいという思いが強くなりました。
子供たちのキラキラした笑顔がもっと見たいです。
世界中の子供たちに歯磨きの楽しさ、大切さを教えていく活動をこれからもしていきたいなと思いました。

あやせ院DH

複数人の前で歯磨き指導をしたり、カンボジア人の歯石除去をしたりなど非日常的な体験ができ、
とても刺激的な時間を過ごせて楽しかったです。

歯磨きをする習慣がないとのことで、ほとんどの子供達が虫歯で日本人の口腔内とは別物だなと感じました。
C4がある子もいました。歯石になりかけの硬い歯垢が多かったです。

大宮院DA

私が、フォレストに入職しようとした決め手の一つが、カンボジアで医療支援をしている点でした。
フォレストに入職することができて、今回4年ぶりのカンボジア支援に参加させていただけて、とても嬉しかったです。

現地の子供たちの歯を診て、虫歯があったり、歯がなくなっていたり、まだまだ歯を磨く習慣や環境が整っていないのだなと思いました。歯磨き指導の時、言葉は通じなくても自分で実際にやりながら教えて、
子供たちも真似してやってくれていたので、今後も、それの経験を活かして続けてくれたら嬉しいです。
日本がどれだけ環境がいいか、恵まれているのかというのをすごく考えさせられました。
医療支援をして、少しずつでもカンボジアの子供たちに、歯磨きの大切さを伝えていけたらいいなと思いました。

あやせ院CO(コーディネーター)

正直医療支援でカンボジアに行く前は汚い国というイメージや危ない国という悪いイメージが強かったのですが、
実際カンボジアで6日間過ごしてみて、街並みも思ったより綺麗で、また危険でもなかったですし、
カンボジアの方々は我々日本人に対して温かく接してくれたので、
今回の医療支援を通して悪い印象のあったカンボジアが素敵で魅力的な国というイメージに変わりました。

カンボジアの方々や現地の日本人スタッフと交流し、バイタリティーの高さに驚かされました。
私も医療支援で学んだバイタリティーを日本に持ち帰り、フォレストでの業務やその他プライベートにも活かしていきたいと思います。

鴻巣院CO(コーディネーター)

実際に現地に行ってみて、カンボジアの子供たちの心が、素直かつ凄く綺麗で、自分自身の心を浄化された気持ちになりました。
言葉が通じなくても、表情で会話することができる素晴らしさを、身をもって感じました。

カンボジアの医療支援に参加し、医療が日本と比べ発展途上であることは分かっていましたが、
実際に行ってみて、カンボジアの子供たちを健診していく中で、より一層医療の重要性を改めて感じることができました。

医療支援に参加する前と、今現在の私自身のカンボジアや、医療に関しての考え方が大きく変わり、とても刺激を受けました。
歯磨き講習会を孤児院で行った際に、正しい歯の磨き方法や、歯磨き粉の利用方法など知らずに、
虫歯になってしまっている子供たちが多い印象がありました。
医療が整っていないからこそ、健康な歯を維持するための一歩として正しい歯の磨き方を伝え、発信し続ける大切さを学びました。

痛みの訴えなどがあり、治療を受けたい時(必要な時)に、相談等も含めて、
すぐに医療機関にアクセスできる環境が、いかに重要であり必要なことかを学びました。
カンボジア研修に参加したからこそ、日本がいかに恵まれている環境下で生活しているということも、同時に実感しました。

 

カンボジアの
歯科事情

カンボジアは1970年代後半、ポル・ポト政権時代の極端な共産主義による知識層の大量粛清により、
歯科医師を含む多くの医療関係者教育者が犠牲になりました。
その影響はいまだ続いており、現在も歯科医師はカンボジア全土で僅か300人程。
多くが都会に集中しているため、 シェムリアップをはじめとする地方都市で歯科治療を受けることはとても困難な状況です。
予防歯科の考えについても浸透しておらず、 そのため歯磨き習慣のないご家庭が多く、
ブラッシング指導で初めて歯ブラシを触ったお子さんもいました。
私達が診察した子ども達の中には、 乳歯のほとんどが虫歯になっていたり、
歯が黒く変色するまで虫歯が重度に進行していたケースもありました。
予防歯科について知識がない、 虫歯になっても治療できない、
痛くても我慢するしかない過酷な状況は、 子ども達の健やかな成長を阻害しているといっても過言ではありません。
私たちフォレストデンタルクリニックグループは、歯科医療に携わる者の当然の責務として、
これからもカンボジアでのボランティア活動を行っていく所存です。