現地の子どもたちの、口内環境向上を目指して

当院では毎年、カンボジア・シェムリアップ州の孤児院や小中学校を訪問し、
診察やブラッシング指導などの歯科ボランティアを行っています。

ボランティア活動期間中は、予約がとりづらいなど日本の患者様にご不便をおかけしましたが、
おかげさまで毎年数百名の子どもたちを診察・治療することができております。

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2024年度カンボジア・ボランティア 診療レポート

2024年06月09日 ~ 13日

日本からカンボジア・シェムリアップへ移動

シェムリアップへは直行便がないため、ベトナムで乗り継いで向かいます。約10時間のフライトです。現地到着後は、持ち込んだ診療器具や備品のチェック、手順確認を行いました。
今年はフォレストから計11名(4名の歯科医師・3名の衛生士・4名のスタッフ)が参加。シェムリアップの広い空のもと、翌日からの診療に備えます。

アドベンティストインターナショナルスクール・孤児院

現地インターナショナルスクール及び孤児院で54人の子どもたちを診察しました。抜歯や虫歯の進行を止めるような処置を行いました。
シェムリアップの子どもたちは、家庭環境に関わらず「歯磨きをしなければいけない・しないと虫歯になる」という認識が低く、また虫歯になっても近くに病院がないため「歯医者で治療する」という選択肢もありません。

はじめて歯科検診を受ける子どもたち。
「痛いことをされるのでは?」と、怖がり泣き出してしまいそうなお子さんもいました。
気温約30度・湿度100%の蒸し暑い中、扇風機で涼をとりながら汗だくで診察します。

クヴィアン小中学校

クヴィアン小中学校は、当院も参画するNPO共生フォーラムの活動「カンボジアの子供たちから、元気をもらおう大作戦!」の、第1期プロジェクトで2012年10月に開校しました。
こちらでは、290名の子どもたちの歯科検診と、ブラッシング指導を行いました。

▼NPO共生フォーラムの詳細
https://tomoniikiru.or.jp/

医療啓蒙活動として、クヴィアン小中学校の子どもたちに口腔ケアの大切さを説明する紙芝居を手作りしました。

ケーオーデンタル株式会社様のご厚意で提供いただいた歯磨きセットを子どもたちに配り、歯の磨き方を練習しました。
みんな真剣な表情で歯磨きを練習します。

児童養護施設 共生の家

NPO共生フォーラムが建設した児童養護施設「共生の家」で11人の子どもたちに歯科検診・治療を行いました。
「共生の家」は「カンボジアの子ども達に明るい未来を掴むチャンス」をという思いから設立されています。

今年は子どもたちと一緒にカレーうどん作りを行いました。
初めての体験に子どもたちは大喜びでした。

 

 

ボランティアに参加した職員の声

西新宿院DR

今回、初参加でしたが、想像以上に楽しく、想像以上にハードでした。
東京でしか歯医者をしたことがない私にとっては、すべてが衝撃的で貴重な時間でした。
このような貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。

目の前の人にとって何が最善か、と深く考えさせられる経験でした。
果たしてどこまでを治療するのか、治療すること自体が正しいのか、これって治療と言えるのか、など自問自答の連続でした。
本人とのベクトル合わせもできず、継続的な治療もできない中で、医療とは何か、と原点回帰する部分もありました。

『できることから始めよう、続けよう、仲間を増やそう』
他の先生方やスタッフ、事務局の方、現地の方と話をする中で、単語は違えど、同じことをみんな言っているな、と思いました。
教育の大切さも然りです。文化や環境は違えど、健康を自ら守る手伝いをする。その大切さ。
正直、何ができたのか、これから何ができるのか、まだわからないですが、カンボジアでの経験が活力になったのは事実です。

鴻巣院DH

話には聞いていたのですが、やはり日本と違って虫歯がない子どもの方が少ないくらい、ほとんどが虫歯で驚きました。
歯冠崩壊していることも多くてまだまだ予防の概念が浸透してないんだなと感じました。
カンボジア全体は無理でも、医療支援を通して孤児院や学校から予防の概念が浸透していけたら素晴らしいなと思います。

カンボジアでの医療支援は、普段の訪問診療に近いのかなと想像していましたが、
器具や消毒などいつもと違う場所で1から行うのは想像よりも大変だなと感じました。
普段の院内や往診がいかに整った環境で行えていて、言葉が通じるありがたみを痛感しました。
当たり前を当たり前に感じずに、カンボジアで経験したことを日々の診療にしっかり活かしていきたいです。

西新宿院DH

今回、初めて医療支援に参加してみて、率直にとても楽しかったです。
カンボジアという途上国に行くこと、医療設備が整っていない状態での検診や治療など、どれも貴重な体験でした。
治療も普段外来で行っているものとは違い、その場限りでどこまでやるのかを判断するようなものでした。

カンボジアの子どもたちには歯磨きの習慣がないことなど、ざっくりとした事前情報はありましたが、実際は想像を超えるものでした。
紙芝居などを通じて啓蒙活動を行いましたが、言葉の壁もあり、やりながらこれでいいのか響いているのかという不安もありました。
ですが、カンボジアの子供たちに一番必要なのは啓蒙活動だと思うので、もっといろんなアプローチができたらよかったと思いました。
行ってみなければわからないことだらけでしたが、こうすればよかったを忘れず、次の機会に活かしたいです。

大宮院DH

フォレストに入職を決めるきっかけとなった、カンボジアの医療支援に今回参加させていただくことができて本当に良かったと思っています。
自分自身、いつも人の後ろに立つことが多く、今回大宮院からは1人の参加ということで出発までかなり緊張していて、不安でしたが、
メンバーの皆はすごく接しやすく、全員で協力して活動する中で、私もなにか今できることはあるか?と考えて動くことができ、
また少し成長できたと思います。一生忘れない良い経験でした。
すごくすごく楽しかったです。また参加して役に立てればと思います!

言葉が通じない中で治療のときに緊張している子にどう声掛けしていいか、リラックスさせてあげられるか、
身振り手振りで伝えるのは難しかったですが、ニッコリしてくれた時安心しました!
子どもたちの中には前歯まで重度の虫歯が進行していたり、歯がなくなっている子もいて、
カンボジアの歯科医療レベルが低いことがわかりました。
多くの子達は医療費が払えず、治療が受けられない現状があると思うので、もっと歯磨きの大切さを伝えたいと思いました。

西東京院DA

カンボジアでの医療支援は想像以上に大変でしたが、多くの学びがあり、とても楽しい経験でした。
健診や啓蒙活動の中で、笑顔いっぱいで素直な子どもたちと触れ合うことでたくさんの元気をもらいました。
衛生士さんを見ながら一生懸命に歯磨きを真似している姿がとても可愛らしかったです。
限られた環境で虫歯治療を行う先生方もとても素晴らしく、医療の重要性を再認識しました。

この度は医療支援に連れて行ってくださり、ありがとうございました。
カンボジアで得た経験を活かし、子どもたちからもらった元気をパワーに変えて、働いて恩返しをしたいです。

鴻巣院CO(コーディネーター)

昨年もカンボジア医療支援に参加させていただいて、昨年に比べてより多くの健診と治療を実施することができ、
たくさんの子供たちと触れ合えて嬉しかったです。治療を待っている時、不安そうな表情だった子供が、
治療が終わると笑顔に変わっていた場面があり私自身、心がほっこり優しい気持ちになりました。
医療環境が整備されていない現地での医療支援を通じて、その厳しさと重要性を直に感じました。

啓蒙活動を行った際、正しい歯の磨き方や歯磨きの利用方法など知らず、
虫歯になってしまっている子供が多く衝撃を受けました。医療が整っていないからこそ、
健康な歯を維持するための一歩として、現地で実施した、目で見て理解しやすいイラストを用いた紙芝居などで
正しい歯の磨き方を伝え、発信し続けることが大切だと学びました。

痛みや治療を必要とする時に、すぐに医療機関にアクセスできることが、どれほど恵まれているかを痛感しました。
カンボジアの医療支援活動に参加しなければ体感することが出来なかった貴重な体験をさせてもらいました。

 

 

カンボジアの
歯科事情

カンボジアは1970年代後半、ポル・ポト政権時代の極端な共産主義による知識層の大量粛清により、
歯科医師を含む多くの医療関係者教育者が犠牲になりました。
その影響はいまだ続いており、現在も歯科医師はカンボジア全土で僅か300人程。
多くが都会に集中しているため、 シェムリアップをはじめとする地方都市で歯科治療を受けることはとても困難な状況です。
予防歯科の考えについても浸透しておらず、 そのため歯磨き習慣のないご家庭が多く、
ブラッシング指導で初めて歯ブラシを触ったお子さんもいました。
私達が診察した子ども達の中には、 乳歯のほとんどが虫歯になっていたり、
歯が黒く変色するまで虫歯が重度に進行していたケースもありました。
予防歯科について知識がない、 虫歯になっても治療できない、
痛くても我慢するしかない過酷な状況は、 子ども達の健やかな成長を阻害しているといっても過言ではありません。
私たちフォレストデンタルクリニックグループは、歯科医療に携わる者の当然の責務として、
これからもカンボジアでのボランティア活動を行っていく所存です。